ニュース&トピックス

2021.10.21  おかえりモネの森

ドラマを支えた木製品の数々

『おかえりモネ』は、いよいよ終盤の気仙沼編。仕事のこと、家族のこと、友人のこと、そして菅波先生のこと。どうなっていくのか目が離せませんが、放送は10月いっぱいです。まだまだ名残惜しいですが、聞けば、ドラマをきっかけに生まれた木製のヒット商品もあるようです。主人公・百音(以下、愛称モネ)の身の回りを彩ってきた数々の木製品を振り返りながらご紹介します。

木製品のアイテムがずらり

初期に登米市の森林組合に勤めていた頃は、以前にもご紹介した組手什(くでじゅう)をはじめ、さまざまな木製品が登場しました。森林組合の中も、モネが暮らしていたサヤカさんの家も、木製の家具や什器、アイテムに溢れていました。舞台を東京に移してからのモネの部屋にも、もちろん気仙沼に戻ってきてからの仕事場にも木製品が溢れています。そんな中、記憶に残るのは第6週、ジャズ喫茶の店主・田中さん(トムさん)から発注された木製テーブルとイス。いったんは注文がキャンセルされるなど紆余曲折あってついに完成したテーブルを囲むシーンは名場面の一つですが、この時登場人物たちが座っていたイスもドラマのために昨年秋に発注されたものだそうです。

林業考証を担当した竹中さんの話によると、ドラマ制作スタッフとの打合せを重ねる中で、モネがトムさんの体調をおもんばかり、肘掛け付きの椅子として、家族団らんを象徴する大きなダイニングテーブルセットに仕上げたそうです。
また、椅子の背もたれには、「米」をデザインした彫刻と、上部には「山並み」が表現され「登米」を想起しているとか。 使用した木材は、登米産のコナラ材(FSC森林認証材)を使用し、加工は仙台箪笥も手がける伝統工芸士・関谷周一さんが代表を務める村の家具屋 木響(ききょう)が担当、また椅子の座面の貼地には、宮城県伝統的工芸品で豊田佐吉が発明した織機を使用した「若柳地織」を使うなど、オール宮城の逸品です。

村の家具屋 木響さんのFacebookより
ドラマで使用された椅子

幸運を呼ぶ? サメのキーホルダーが大人気

モネのまわりを彩った木製品の多くは、宮城県登米市津山町の木工品販売店クラフトショップ「もくもくハウス」から提供されたものです。1982年にオープンした「もくもくハウス」は、同年東北工業大学との共同研究で杉の間伐材を利用した矢羽集成材を考案。宮城県産、正真正銘のムク材を丹念に継ぎ合わせた表情豊かな製品は、モネがしばしば手にしているバインダーのほか、ペンケースやお弁当箱、トレーやお盆など多彩。9月には「おかえりモネ」紹介コーナーを特設して、撮影用の木工品を展示しているとか。ブログによると“森林組合の事務所に置いてるペーパーチェスト、その脇はサヤカさん邸にある茶びつ、モネちゃんのお部屋にあるテッシュボックス、仕事で使った木のバインダー、気象予報士の猛勉強をしているときに使ったペンスタンド、登米のおしいいハット汁を運ぶときに使った角盆、だ円トレーなどなど”とあります。そう聞くとドラマを見返したくなりますね。逆にドラマがきっかけで生まれたヒット商品もあるそうです。9月に発売になったサメのキーホルダーははじめの販売数50個が8分で売り切れてしまい、いまも注文がやまない状態だそう。菅波先生がナイスキャッチしたあの“幸運を呼ぶキーホルダー”が話題となり、「もくもくハウスでつくってください!」というリクエストに応えて新たに作成したものだそうです。

もくもくハウスさんで販売されている「サメのキーホルダー
写真は口を閉じたタイプ。口を開いた別タイプもあります。

令和元年東日本台風と「もくもくハウス」

「もくもくハウス」は、道の駅津山もくもくランド内にあります。内陸部の登米市は、沿岸部の南三陸町と隣接することもあり、この道の駅は東日本大震災の際には帰宅困難者を受け入れたり、救助隊や報道の拠点ともなったりしたので訪れた人も多いでしょう。2019年10月の台風19号(令和元年東日本台風)で、この道の駅津山もくもくランド全体が水害にあい、「もくもくハウス」も仮店舗で営業をしているそうです。ドラマの内容とも重なりますが、道の駅も「もくもくハウス」さんも、気象災害を乗り越えて復興されることを心から願います。コロナ禍が落ち着くまで、遠くの人は足を運びづらいですが、素敵な木製品を“買って応援”することはできそうですね。

取材協力:竹中 雅治(登米町森林組合)

関連情報

これまでの「おかえりモネの森」記事