ガタンゴトン、と、東京から千葉方面へ向かう電車で江戸川の橋を渡ると左手側に国府台の森が見えてきて市川市に入ります。
千葉県のマスコットキャラクターであるチーバ君の舌の上あたりに位置する市川市の面積は5,639ヘクタール(※1)、そのうち緑地面積は1,685ヘクタール(※1)、森林面積はたったの123ヘクタール(※2)とたった2%しか残っていません。
今回は再び、この都会に残る「深呼吸したくなる」貴重な森たちをめぐるツアーをご紹介したいと思います。
たった2%とは言いますが、市内をつぶさに見て歩くと小さな森が点々とあることに気が付きます。
市川市の南側、昔は海だった行徳エリアを代表するのは野鳥の楽園。ここは東京湾が埋め立てられたときに全域が開発される危機を乗り越えて残された貴重な湿地。今では鳥が運んでくれた種から育った木々が生い茂り、珍しい塩生植物を含め600種近い植物が観察できます。
鳥が育んでくれた森と言っても過言ではありません。
森が多い市川市の北側へは、市川駅からスタートしましょう。
江戸川の河川敷に向かうと、森ではありませんが、フジバカマやノカラマツなどの様々な植物を見ることができます。その東側にはバラ園もある里見公園、国府台緑地、じゅんさい池と「水と緑の回廊(※3)」が続き小塚山公園、堀之内貝塚公園(縄文時代の貝もいっぱい)と堀之内緑地まで、里山の森が続きます。
堀之内緑地から東に進んだ先にある大野町2丁目の斜面には細長く続く森があり、南大野まで続いています。斜面林が終わると竹林が美しい前畑緑地、そして武蔵野線を越えた先の第五中学校の裏には「城山の森」が控えめに存在しています。市川といえば梨が有名なのですが、おいしい梨を作っている梨園がいくつも続く梨街道沿いには、大町小学校裏の「わんぱくの森」を含むいくつかの民有林が迎えてくれます。
大町駅の少し手前には北側の森の代表選手、長田谷津を含む広い大町自然公園があります。ここは市内でも一番動植物の種類が多い場所で、夏にはホタルも見られますし、動植物園(有料)にはレッサーパンダもいて、実は森よりも賑わっています。続いて市川の軽井沢と言われている秘境、柏井2丁目の深いけれど明るい森にあるキャンプ場で一息ついたあとは、姥山貝塚を経て森に囲まれた由緒正しき中山法華経寺に向かいましょう。
最後は八幡の藪知らず。
昔は一度入ったら出られないと言われて守られてきた竹林ですが、今では小さくなり駐輪場に囲まれて奥が見通せるほどになっているので、ちょっと外から眺めたら本八幡駅でゴールです。
さあ、どうでしたか。
現在市川市の人口は493,021人なので(※1)、市民一人当たりにするとたったの0.00025ヘクタール(2.5平方メートル、つまり1.5メートル四方ほどなのでツバキ1本分くらいの広さでしょうか)の森です。
普通には立ち入ることができない森もあります。でもそんな超!貴重な森を、幸運にも管理する楽しさを享受している人々がいるのです。
次回はそんな森のボランティアたちに注目してみたいと思います。
市川の森にご興味のあるかたはぜひ遊びに来てください!
市川 キリ子
※1 市川市公式HPより
※2 農林水産省 2020年農林業センサスより
※3 市川市「水と緑の回廊」
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INFORMATION
市川市 花と緑のまちづくり財団HPの「お問い合わせ」よりご連絡をいただくか、 現在8つある「いちかわ森の交流会」ボランティア活動団体に直接ご連絡ください。
https://www.ichikawa-fgud.com/volunteer/green_volunteer/
Forest Styleナビゲーター・プロフィール
市川 キリ子(いちかわ きりこ)
幼少より千葉県市川市に住み、減りゆく自然に心を痛めていたがそれでは何も変わらないと森のボランティア活動を始めたところ、楽しくて仕方がない日々。ぜひたくさんの方に知っていただきたくSNSなどで発信をしています。