世界遺産・白川郷の合掌造り集落
独自の文化形成の根底にある、自然の魅力。
現在も人々の暮らしの営みが行われている世界遺産・白川郷。標高2,702mの白山を中心にした山岳地帯で、冬は一面が雪に覆われる豪雪地帯として知られています。
有名な“合掌造り”という独自の建築方式や生活文化は、地形の影響を受けて他地域との交流が隔絶されていたことや、大家族制度が築かれたことなど、当時の社会環境や経済事情からなるものです。文化遺産として世界遺産に登録されてはいるものの、その背景には自然が大きく影響していたのです。
「こんなにも素晴らしいここ(白川郷)の自然は、人々の暮らしに密接な関係があって。独特な生活文化は厳しい自然環境から生まれているんです。」
そう話されたのは、今も豊かな自然に囲まれた白川郷で白川郷アクテビティーセンターo8(AWE EIGHT)を主宰されている蟻原陽一さん。今回は、ご自身がプレイヤーとなって白川郷の自然アクティビティーをガイドされるという蟻原さんに、白川郷ならではのアクティビティーについてお伺いしました。
蟻原さんは、季節に合わせて様々な自然アクティビティーを提案されていらっしゃいます。例えば、夏は白川郷の秘境である“白水湖”でのSUPツアーやパックラフト。「冷たくて綺麗な水に触れてもらったり、自然の地形の作られ方を間近で見てもらったり出来る」という点が、蟻原さんのイチオシポイントなのだとか。
他にも野外テントアクティビティー・白川郷"Soto"サウナキャラバンや、登山ガイドの資格を活かされた三方岩岳や白山の登山ツアーもあるそうです。
冬のアクティビティーにも目が離せません。雪板遊びツアーや、雪の上を歩くスノーシュートレッキングのですが、スノーシュートレッキングはただ雪の上を歩くだけではないのです。白川郷地域ならではのアクティビティー、世界遺産集落を別角度から見られるツアーなのです!
「白川郷は、色々な意味で、“取り残された場所”」と話す蟻原さん。しかしだからこそ良かった点もあるのだとか。それは、原生林が残っているところ。山奥であるがゆえ森林の切り出しが難しかったこの地域には、ブナの原生林が残されているのだそう。
「取り残されてくれて、ありがとうと思う。」そう話す蟻原さんからは、この自然豊かな白川郷への愛がひしひしと伝わって来るようでした。
世界遺産の文化地区ばかりが注目されてしまう白川郷。しかしその文化地区を作り出したのは、周辺の広域に渡る自然環境なのです。歴史的背景の本質を知るためには、どうやら自然を知ることも必要なのではないでしょうか。
「合掌造りだけを見る“通過型観光”ではなく、自然を楽しんで文化を知ってもらう“宿泊型”に変わっていって欲しい。」と願う蟻原さん。この地域で長年暮らし、その魅力を知る蟻原さんは少しおしゃべりで、私たちをお話だけでも楽しませてくださる方でした。
今度は実際に蟻原さんのガイドで世界遺産・白川郷の合掌造り集落を、自然という観点から楽しみたいものです。
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