長野県上松町・“森林セラピードック”
健康第一の休暇を、選択肢の一つに。
一般社団法人上松町観光協会事務局長の松原和恵さんにお土産として頂いたのは、天然木曽ヒノキオイルが配合された入浴剤・“木曽 檜の香”。
自宅の浴槽に溜めたお湯に入浴剤を振りかけ、撹拌させていくとフワッと香ったのはヒノキの匂い。肩まで浸かると、その香りのおかげで身も心もほぐれていく。そんな至福のひと時。
「いつものお風呂と違う…!」
心地良さを感じながらも、ヒノキの香りの効力を冷静に実感している私がいました。もちろん入浴剤が持つ温泉に近い成分の効果もありますが、それだけとは違うリラックス効果。間違いなくヒノキの香りの仕業です。そして香りから思い出したのは、上松町にある赤沢自然休養林を訪れ、森林セラピー体験をした時のことです。
上松町では、森林浴が“新たな医療の処方箋”となるように、着々と準備を進めています。
森林セラピーの代金が、健康保険として適用されるように。
より専門性が高く、医療としての効果を発揮するものになるように。
そのような目標のために、エビデンスが集められ、地域全体から理解を得ているのです。
その取り組みに“医療”の面から協力しているのが、長野県立病院機構・木曽病院の名誉院長である久米田茂喜先生。“森のお医者さん”を務める久米田先生は、「医療ツーリズムで、地域をサポート出来れば良い。」と話します。
久米田先生が話す“医療ツーリズム”とは、「上松町で“森林セラピードック”を受ける」ことが「休暇の過ごし方の一選択肢になる」ということ。
森林セラピードックで出来ることは以下の通り。
- 医師による問診や血圧・心電図の測定に加え、血液検査を含んだ人間ドックに近い検査が受けられる。
- その上で、結果に準じた“森林セラピーの処方箋”が処方される。
- その処方を元に、森林セラピーガイドによる森林セラピーの案内を受ける。
心身ともにリフレッシュ出来る休暇になるのではないでしょうか。
ところで、“森林セラピーの処方箋“は錠剤や粉薬ではありません。「その人の健康状態に合わせ、森林セラピーのコースや費やす時間を指定する」というものなのです!
久米田先生は、実際に赤沢自然休養林にあるいくつもの種類のコースを歩かれたのだとか。そこで実際に体験したコースの様子と、事前に用意されている各コースにおける消費カロリーの量や標高差などのデータを元に処方を行っています。
今では「休暇を取って、森を歩く」という選択肢が、人々の中に浸透していくことを願う久米田先生も、初めは「森林セラピーって何?」というところから始めたそう。「赤沢自然休養林が『森林浴発祥の地』と言われるようになってから、色々と教えてもらうことで興味が湧いた。」と話します。
そして、その魅力に気が付いたからには、地域の病院である木曽病院がタイアップしていかなければと感じた久米田先生は、森林セラピードックを推進する取り組みに一役買うこととなったのです。
森林セラピーを受け、その効果を感じた患者さんのお話も伺いました。車椅子で移動する寝たきりだった方は、月一回で森林セラピーに通ったことで歩けるようになったそうです。また、末期のすい臓がんだった方は、3年間もの間森林セラピーに通っていたということもあったとのこと。つくづく、森林セラピーの心身に対するプラスな効果の存在を感じさせられるエピソードです。
“森林セラピー”や“森林セラピードック”のことを認識されている方は、まだ少ないことでしょう。
自然に触れることで心身ともに健康になっていく森林セラピーの療法は、おそらく多くの人々の中で潜在的に必要とされているのではないかと感じています。
少しでも多くの方に森林セラピーの存在を、そして上松町の存在を知っていただければとても嬉しいです!
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