行くだけで身も心も健康に!?
長野県上松町が誇る「森林浴発祥の地」の魅力とは。
車から降り“ふれあいの道”と書かれた石碑を横目に森林の中に入っていくと、目の前に広がるのは大きな木曽ヒノキが林立する世界。小鳥のさえずりや流れる川の音が聞こえ、ヒノキの香りがほのかに鼻の奥を通るこの場所は、長野県上松町が誇る日本三大美林の一つ・赤沢自然休養林です。
「森林浴発祥の地」の赤沢自然休養林を始めとした、上松町の魅力を教えてくださったのは、一般社団法人上松町観光協会事務局長の松原和恵さん。松原さんは「(上松町で)健康な体づくりの体験をしてもらって、繰り返し来てもらえるようになれば嬉しい。」と話します。
赤沢自然休養林が開園したのは、今から約50年前の1970年。1982年には初めての森林浴の全国大会が開催され、森林浴を普及させる取り組みが始まったそうです。 森林浴・森林セラピーとは、森林の中に入り心身ともにリラックスさせていくこと。空気が澄んでいる森の中で呼吸をしたり、都会の喧騒とは異なり自然の音しか聞こえない世界を歩いたりすると、とてもリラックス出来そうな感じがしませんか?
森林浴が私たちの身体にもたらす効果は、科学的に証明されはじめています。上松町でも、森林浴の効果を明らかにする実験が重ねられ、エビデンスは少しずつ集まってきているのだとか。
例えば、赤沢自然休養林の森林セラピーロードで豊富に検出されたのは、森林の香り成分の“フィトンチッド“。これは自律神経を安定させ、ストレスホルモンを減少する効果があるとされています。
他にも、ウイルスや腫瘍を拒絶するとされているナチュラル・キラー細胞(NK細胞)が活性化する割合が、森林浴を実施した前と後では明らかに違うことが分かりました。これはすなわち、森林浴には免疫機能を高める効果があるということを明らかにしたのです。
私は実際に、森林セラピーを体験させていただきました。約2時間に渡って堪能したのは、赤沢森林鉄道沿いの“ふれあいの道”から、駒鳥コースエリアにある「昭和60年の御神木伐採跡地」を寄り道するオリジナルコース。
歩き進めて目を惹かれたのは、太い根が地上に出ている「根上がりの木」と呼ばれる数々。これは何百年もの樹齢を重ねた木が倒れ、その上に新たな木がまた何百年もの年月をかけて成長していく過程の中で、伐倒した木が腐敗し土に還っていくことで空洞が出来ていくというものだそうです。
天然林が林立する世界だからこそ見られる光景に、とにかく圧倒されました。現在を生きる木の根の部分から、その前の時代を生きた倒木に思いを馳せていくと、遥か昔まで遡れてしまうのです。何百年も前からこの地を知るという、その迫力ある木々が鬱蒼とした森を創り上げています。
2時間の森林セラピー体験を終えると、嘘のように心地良い気持ちになっていました。途中で少し立ち止まって自然界の音に耳を傾けてみたり、澄んだ空気の中で深呼吸をしたりした効果なのでしょうか。あるいは、約2時間もウォーキングをした効果かもしれません。身体は軽くなり、溜まっていた疲れが軽減されたように感じました。びっくり!
松原さんは「その人に合った、森での過ごし方を提案していきたい。」と話します。気に入った場所に留まって、その場で寝てしまっても良いのだとか。より多くの方が、森林セラピーを体験し、健康になっていくことを願っていらっしゃる姿が、とても印象的でした。
上松町には森林セラピーの他にも、観光協会主催の“星や蛍の観察プログラム”や“昆虫トレッキング”などのアクティビティ、また林業遺産等の観光地や、地元の山の幸を生かした食事などの魅力が隠されています。
ぜひ旅行の選択肢の一つとして、森林の中でゆっくりと過ごす上松町でのプランを考えてみてください!
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